PR事例が満載の限界集落株式会社
まもなく最終回を迎えるNHKのドラマ「限界集落株式会社」、フィクションながら地方の抱える諸問題を軽妙かつテンポよく伝えてくれる番組です。 主人公演じる反町隆司、谷原章介、そして今旬の女優、松岡茉優らが好演しています。彼女はご存知「あまちゃん」で埼玉のアイドルに扮してから一気にブレイクし、現在「問題のあるレストラン」の訳ありシェフの役や、先日の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」では初アワードを受賞した若手の実力派です。だんだん個人的思い入れが強くなりそうなので、本題です。 http://www.nhk.or.jp/dodra/genkai/ このドラマの舞台となる過疎地、なかでも限界集落とよばれる地域は高齢化や少子化、過疎化に加え生活インフラがぜい弱になる一方、地域の存続そのものが問われています。ドラマのなかでそうした課題を解決するためのアイデアや、村をPRするエピソードはまさに我々PR会社が食に関して取り組んでいる事例をそのまま採用しています。 村の生産者たちが気が付かないコンテンツを谷原章介扮するビジネスコンサルタントが少しづつひも解いていく、そしてそれをどうやってPRするのか、体験型農業やイベント、そして直販所等の場を通して、消費者と生産者をつなげていく過程や、それらをメッセージにして伝えていくなど、PRの王道を実践していきます。 前回のエピソードでは谷原扮するビジネスコンサルタントがメディアを訪問し村のPRに駆け回りながら、テレビ局の生中継を無理やり誘致します。しかし現場からリポートが想定通りのシナリオにはならずテレビスタッフも頭を抱えていたとき、古田新太扮する大物芸能人リポーターが地元でしか流通していなかった地味な野菜「もちきび」に感動したことがフックとなり、村には一気に「もちきび」特需が訪れます。 それが売上を一気に押し上げていく一方で、新たな問題が発生します。そうしたリスクコミュニケーションは食品にかかわる企業も団体もどこも抱えるPR課題です。 実はこの番組をリアルタイムで見ている視聴者が「もちきび」をキーワード検索し、Yahooの検索トピックのトップに一瞬上がっていました。フィクションとリアルとが不思議な力で結びつくのを見て、ちょっとエキサイティングな感覚を覚えました。 最終回ではひとりの有機栽培農家が誤って使用してしまった農薬が、覆面調査で残留していたことが露呈してしまい、村は有機栽培に対する「食品偽装」が問われる、という大きな山場を迎えます。慣れない記者会見を開くことになった主人公たちがどう立ち回るのか、その結果この村をどう救うのか、はたしてハッピーエンドとなるのか否や注目です。