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ニュース・コラム

PR的な視点で見たアイドルの卒業

2018年2月1日
PPC EYES

先日、「ももクロ」メンバーの卒業がニュースで話題になりました。

「一般人として生活したい」という理由ながら、発表からわずか1週間での卒業、という異例な展開だったため、兼ねてから噂のあったメンバー間での不仲説、事務所との対立説、結婚・妊娠説なども一部で見受けられましたが、本人やメンバーの新たな挑戦を応援する記事が圧倒的に多かったことがとても印象的でした。
これは、他のアイドルグループとは少し立ち位置が異なる「ももクロ」だから、という見方もできますが、事務所がメディアからの取材を積極的に受け入れたこと。また、その取材において、グループメンバーが全くぶれずにストーリーを語ったことが、ネガティヴな憶測の拡散を防ぎ、新たな挑戦に対する応援ムードを作りあげたのではないか、と思います。
結果的に、発表から6日間という電光石火で開催した卒業ライブは3万人近く動員。中継したAmebaTVは同局音楽部門で史上最多視聴数となる約220万視聴を達成し、メンバーのブログやファンのSNSは、感謝と応援の暖かいコメントで埋め尽くされました。

そもそも「ももクロ」は、メンバーの脱退、紅白出場、女性グループとして初めての国立競技場での単独ライブ開催、演劇や映画への挑戦、など様々な難題に立ち向かってきました。そして、苦難を乗り越えて目標を達成していく姿を、ライブ感をもって共有することでファンを魅了し、成長を続けてきた、とも言えます。
一方最近は、メンバーの単独活動も多くなり、これまでのようにグループとして何かに挑戦する姿や方向性が見えづらくなってきていました。
そんななかでの突然のメンバー卒業は、7年近く固定メンバーでやってきた「ももクロ」にとって、グループの存続を揺るがすほど大きな出来事だったはずです。
しかし、この危機的な状況を、間もなく迎える10周年前の大きな試練と位置づけ、ライブ感のあるストーリーに転換することによって、改めてファンを惹きつけることに成功したのです。

PR的な視点でみても、危機管理におけるコミュニケーションとして、事務所の対応は見事でした。
ピンチをチャンスに変える臨機応変な対応力こそが、「ももクロ」を国民的なアイドルに育てた、大きな要因の1つだと改めて感じました。
そして、ファンが興ざめせず、リアリティを持って受け止められるファンタジーなストーリーの共有が、大きな役割を果たしています。
今回もこれまでも、そのストーリーは必ずしも綿密に計画されたものではなかったかもしれません。
むしろ手探り状態のなかで生まれた対応だったからこそ、虚構に見えず、共感を生むことができたのだと思います。
勿論、物語のヒロインである「奇跡の5人」と呼ばれたメンバー達の、演技を超えた天性の振る舞いがあったからこそ、であることも言うまでもありません。

PRは第3者の評価によって成功を目指すコミュニケーション活動なので、より多くの人から共感や信頼を得ることが大切です。
その要になるストーリーは、アイドルを含む多くのエンターテイメントのように、必ずしもファンタジーではありません。
しかし、相手やメディアが関心・共感するストーリーを、いかに興ざめしないように伝えることができるか、が成否を握る点では共通していると思います。
だからこそ、表面的な見栄えだけではなく、多少不器用であっても、リアリティがあってライブ感のあるストーリーを見つけて伝えていくことが、PRにとってとても重要であることを、今回、アイドルの卒業をとおして改めて感じました。

   
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